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本コラムでは、一人ひとりが成長し組織活動に貢献する、インナー☆ブランディング型の人材育成を推進する上で基本となる考え方を、複数回にわたって紹介しています。
誤用されている「目標によるマネジメント」(Management by Objectives and Self Control)
大多数の日本の組織が取り入れている「目標管理制度」。
「半期に一度上司と面談するためのシート」というイメージが定着し、さらに、面談内容や評価について何かしらの不満を感じている、という方が多いのではないでしょうか。
では、そのコンセプトを創案したドラッカーは、目標管理についてどのように語っているのでしょうか。
「私が初めて目標管理を提唱して以来、この言葉はスローガンとさえなった。今日では文献も多い。講座、セミナー、映画さえある。目標管理を採用している組織は多い。しかし、真の自己管理を伴う目標管理を実現しているところは少ない。自己管理による目標管理は、スローガン、手法、方針に終わってはならない。原則としてなければならない。
哲学という言葉を安易に使いたくはない。できれば全く使いたくない。大げさである。しかし、自己管理による目標管理こそ、マネジメントの哲学たるべきものである。」
出典:『エッセンシャル版 マネジメント基本と原則』ダイヤモンド社刊 P141「自己管理による目標管理 自己管理」の項より
「目標管理」の本来の姿とは?
実は、目標管理は本来は「Management by Objectives and Self Control」という言葉で表現されています。つまり「自己統制に基づき成果をあげるための目標(成果指標)を利用した活動管理」です。特に大事なのは「目標(成果指標)」と「自己統制」という2つの点です。
しかし日本では「自己統制」の意味合いは全く伝わらず、トップからの数値およびタスクがそれぞれの役割に応じて分配され、それを管理(チェック)するという形で運用されているケースが大半です。
残念ながらそれでは、ドラッカーがマネジメントの原則とした
①自らの組織に特有のミッションを果たす
②仕事を通じて人を生かす
いずれも実現することができません。
そこで本コラムでは、今回と次回の2回に分け、「目標による管理」の要点を確認していきます。
本来の「目標による管理」とは?
「目標」と「管理」という2つの単語。この言葉の組み合わせが、私たちが誤って認識するきっかけとなったようです。
まずは、ドラッカーが伝えていることに立ち返ってみたいと思います。
「目標によるマネジメント」を最初に紹介した『現代の経営』の中で、ドラッカーは次のように伝えています。
・管理は、自分と自分の仕事の能力を方向づけることを意味する。しかし同時に、他人を支配することを意味する。
・目標とは、前者の意味での管理の基礎となるべきものであり、後者の意味での管理の基礎となるべきものではない。
上記をより具体的に理解するために、ドラッカー学会理事として活躍され、マネジメントワークショップ「はまドラ」にて講師を務めていただいている井坂康志先生の著書『ドラッカー入門新版』を参照します。
「管理というと強圧的で冷酷な印象がある。しかしドラッカーの言う管理とはそのようなものではない。ドラッカーの管理とは仕事の成果を測定し、目標としていた内容をどの程度クリアしたかを検証し、問題点があれば修正するというフィードバック活動を言う。成果に関係のないことを測定するのはやめなければならない。重要なのはいかに管理するかではなく、何を管理するかである。」
また、井坂先生は「はまドラ」の中で、「何を管理するか」について考える際の補助線として、次のような問いを紹介しています。
□上司が立てた目標が、部下を支配して意欲を奪っていませんか
□部下が立てた目標が、貢献を無視したものになっていませんか
以上今回は、目標による管理を、言葉の解釈の側面から整理しました。次回は、その目標を、それぞれのやりがいにつなげていく上での要旨を紹介します。
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「はまドラ」開催のご案内
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学んで貢献
テーマ:アートとしてのマネジメント~なぜ今マネジメントに「アート」が必要なのか
日時:2019年10月19日(土)13:00~16:45
会場:開港記念会館 9号室
参加費:1,000円(費用は全て令和元年台風被害にあった地域のために役立てます)
お申し込み方法:こちらのページにてワークショップの詳細をご案内しております。
なお、お電話でもお申し込みを承っております。
(045)222-0737までお気軽にお問い合わせください。
平日9:00~18:00