2017年から開催されているドラッカー学会の総会&大会「ネクスト・ソサエティ・フォーラム」。
本フォーラムは、インナー☆ブランディング型組織づくりのヒントとなる情報が満載です。
2020年度からはオンラインとなり、2021年5月15日に開催されました。
その中でも、今後のマネジャーやリーダー育成の示唆に富む基調講演内容について2回に分けて紹介します。
今回は、変化を機会に変えていくための視点について。
【The New Realities】―2021年度の大会全体のテーマです。
基調講演は P.F.ドラッカー経営大学院 教授 山脇 秀樹 氏。
山脇教授のご経歴は、1982年にハーバード大学経済学博士号取得(PhD)後、旧西独国立ベルリン社会科学研究所上級研究員、 1990年よりベルギー、ルヴァーン大学経済学部教授。
その後1995年よりカリフォルニア大学ロサンジェルス校(UCLA)アンダーソン経営大学院客員教授を併任し、2000年よりカリフォルニア州クレアモントにあるクレアモント大学群のピーター・ドラッカー経営大学院教授・伊藤チェアー基金教授。
2006年度より同校副学長、2009-12年度に学長を務められました。欧米のビジネススクールにおける初の日本人学長だそうです。ご専門は、MBA・エクゼキュティブ向けの競争戦略論です。
基調講演テーマは【The Future That Has Already Happened】。
このタイトルは、P.F.ドラッカーの著書、原題『The Ecological Vision』の邦題『すでに起こった未来-変化を読む眼-』の英訳です。
山脇教授は講演冒頭で、ご自身で撮影された米カリフォルニアの駐車場の写真とともに1つの問いを投げかけました。
「この車は何でしょうか?」
そこに写っていた車は、テスラ車でした。
テスラと言えば今や時価総額トップの自動車会社。
しかし、日本ではほとんど見ることがありません。(調べてみるとテスラの2020年度の日本での販売台数は、2000台。)
一方、山脇教授が撮影した米カリフォルニアの駐車場には、複数のテスラ車が並び「この写真に写っていないところには、5台並んでました」とさらりと付け加えられました。
その後に米国内で起きたハンズフリー運転のテスラ車の事故に触れ、
・技術をコントロールするか?
・(状況に応じて)判断することができる人を養成するか?
どちらが必要か、と問いかけられました。
今や、デジタル・トランスフォーメーション(DX)など、技術革新には目覚しいものがあります。
しかし山脇教授は、技術が進展すればするほど、判断をする人の養成が重要になると話され、
特に、多様で柔軟な働きかに移行している今、個々人が自己をマネジメントする必要性がかつてないほど高まっている、と展開されました。
山脇教授の問いをもとに、人材育成に携わる者として次のことを考えました。
2020年から現在に至るまで、各国、各地域で大きな変化が起きています。
しかし私たちの行動は制約を受け、その変化の実態がつかめていません。
そのような中でも、それぞれの日常の中にある変化を【観察】し、【記録】し、【共有する】。
これらのことをマネジャー、リーダーを中心にしておくことが必要ではないか。
そして、【共有】を通じ【仮説】を立て、【検証】し、【見解を導き出す】。
この地道な取り組みをするかしないかが、これからの組織の成長を大きく左右するのではないか。
本コラムをご覧くださっている皆様は、何を観察し、記録しているでしょうか。
また、組織では何を共有されているでしょうか。
次回は、「Purpose Driven」について紹介します。
大きな変化の過程にある今、この変化を機会に変えるためのマネジャー、リーダー向けセミナーを企画しております。是非ご活用ください。
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