若手世代の「自己肯定感が低いこと」に潜む深刻な課題

2019.11.14 インナー☆ブランディング

当サイトにお越しいただきありがとうございます。

本コラムでは、一人ひとりが成長し組織活動に貢献する、インナー☆ブランディング型の人材育成を推進する上で、基本となる考え方を複数回にわたって紹介しております。

前回、「7割の企業が抱える目標管理の課題」では、
・上長と部下との話し合いがほとんどなされていない
・管理職の目標管理に関する知識・スキルが不足している
ことが目標管理運用上の主な課題であることをお伝えしました。

そこで今回は、面談を受ける側(若手世代)について考察する中で、人材育成に携わる人が認識しておきたいことについて紹介します。

日本の若手(10代~20代)の「自己肯定感」に関する調査結果から
今から約6年前(2014年)に、日本、韓国、アメリカ、英国、ドイツ、フランス、スウェーデンの満13歳~満29歳の若者、各国1,000人ずつを対象に「自己認識」に関するアンケート(内閣府の調査結果)が実施されました。

アンケート項目は以下の通りです。
(1)自己肯定感に関するもの
「自分自身に満足している」、「自分には長所がある」、「自分について誇りをもっているもの」
(2)意欲に関するもの
「うまくいくかわからないものにも意欲的に取り組む」、「つまらない、やる気がないと感じたこと
(3)心の状態
「悲しいと感じた」、「ゆううつだと感じた」
(4)社会規範
(5)社会形成、社会参画
「社会の問題に関与したい」、「社会現象が変えられるかもしれない」
(6)自らの将来に対するイメージ
「将来への希望」、「40歳になったときのイメージ」

アンケート結果を見たところ、「社会規範」に関するもの以外、他国と比べてほとんどが「ネガティブ」な傾向となっていました。

中でも、人材育成の面から見て重要と思われる項目をピックアップすると次のような傾向です。

図表2 自分自身に満足している

 

図表5 うまくいくかわからないことにも意欲的に取り組む

図表12 将来への希望

図表13 40歳になったときのイメージ(幸せになっている)

アンケート出典:内閣府の調査結果

「日本の若手は自己肯定感が低い」と言われていますが、上記アンケート結果から、そのことが裏付けられる形となっています。

「自己肯定感が低いこと」に潜む深刻な課題
最近「若い人は自己肯定感が低い」ことに注目が集まり、とかく話題に上ります。しかしこの調査結果で見落としてはならない点があります。それは、20代世代の2人に1人は、自分の将来に希望が持てていない。つまり、自分が生きる目的や目標が見えない状態にある、ということです。

目的や目標が見えない状態にあると、仕事そのものや業務目標に意味や価値を見出せないため「やらされ感」を持ちやすくなります。「やらされ感」をもった状態で日々を送っていれば、それは常態化します。そうなれば、仕事のレベルをあげる努力はしなくなり、結果として評価は横ばい(または低下)にせざるをえません。
評価されなければ、余計に意欲は低下していきます。

これまで、目標管理に着目してきたので、
・上司の目標の与え方
・上司の評価とフィードバック面談の仕方
などに課題があるのではないかという見方が中心でした。

しかし、人材育成に携わる我々が見逃してはいけないことは、若手社員世代の2人に1人は、
・目的や目標感が低い状態にあること
・目的や目標感が低い状態なため、仕事そのものや業務目標に意味や価値が見出せていないこと
という状態にあることを認識しておくことです。

そして、目的や目標感が低い状態にあるのは、組織の問題ではなく、個人の問題であるという認識を持つことが必要です。それは、言葉を変えると、

「自分の(生きる)目的・目標は、誰かが与えてくれるもの」

という誤解を、若手社員がしていないだろうか、という問いとなります。

もし、若手社員が誤解をしたままであり「それは組織や上司が見つけ、与えてくれるもの」と思い込み日々を送っているのであれば、どんな目標も評価も満足を得ることはないでしょう。

そして、組織として上司に対して打つ施策の全てが上滑りしていくことでしょう。

以上のことをふまえてみたとき、自社の社員はどのように見えるでしょうか。

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